ペルセウス座流星群が、8月12日夜から13日未明にかけて日本で見頃を迎える。2026年は極大期が新月と重なり、月明かりの影響を受けない好条件だ。国立天文台によると、流星群自体の活動は13日11時ごろに極大となる見込みだが、日本では昼間に当たるため、その直前となる13日未明が最大の観測機会となる。空の暗い場所では、東京で空が白み始める前の3時台を中心に、1時間あたり約35個の流星が期待されている。13日夜から14日未明も比較的多くの流星が見られ、暗い場所では1時間あたり約30個が予想される。流星は21時ごろから現れ始め、夜半を過ぎて放射点が高くなるにつれて数が増える。日本で観測する場合は、12日夜から13日未明を第一候補、13日夜から14日未明を次の機会と考えるとよい。2026年8月12日には、皆既日食や複数の惑星を観測できる天文現象も重なる。ただし、皆既日食が見られるのはグリーンランド、アイスランド、スペイン北部などで、日本では観測できない。日本の観測者にとって、この時期の主役は月明かりのない夜空に現れるペルセウス座流星群となる。■IMO(国際流星機構)の実際の予測毎年「1時間に100個」という数字がペルセウス座流星群の紹介記事に登場するが、これは通常、理想的な条件を前提とする天頂出現数(ZHR)の代表値だ。2026年は近年の活動がやや低調であることも考慮する必要があり、実際に見える流星数は観測場所や時間、空の暗さによって大きく変わる。ZHRとは、放射点が天頂にあり、空が完全に透明で、観測者の目が暗闇に十分順応していると仮定した場合の1時間あたりの流星数だ。実際の観測では、放射点の高度、街明かり、雲やかすみ、視界の広さなどが影響するため、見える数はZHRより少なくなる。国立天文台は、日本の空の暗い場所では、13日の夜明けごろに1時間あたり約35個、14日の夜明けごろに約30個の流星を予想している。街明かりのある場所では、この数が何分の1かに減ることがある。一方、目のよい人や流星観測に慣れた人は、予想より多くの流星を見られる場合もある。IMOのRobert Lunsford氏は、近年のペルセウス座流星群の活動が平均を下回っていると指摘している。流星の専門家であるMikhail Maslov氏も、この傾向が2026年まで続くと予想している。2026年の価値は流星群自体が異常に活発になることではなく、月明かりに妨げられず、暗い流星まで観測しやすい点にある。■彗星の破片、アブレーション、緑色の光跡ペルセウス座流星群は、人類の歴史上、最も古くから確実に記録されている流星群の一つだ。中国の観測記録は少なくとも西暦36年、ヨーロッパの記録は9世紀にまでさかのぼる。カトリック圏では、258年8月10日に殉教した聖人にちなみ、「聖ラウレンティウスの涙」と呼ばれてきた。母天体であるスイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)は、約133年周期で太陽を周回している。核の直径は約26kmで、太陽系の内側を繰り返し通過することが知られている天体としては最大級だ。恐竜絶滅の原因になったと広く考えられている衝突天体の、2倍を超える直径を持つと推定されている。同彗星が最後に近日点、つまり太陽に最も近い位置を通過したのは1992年12月で、次回は2126年と予測されている。その間も、過去の接近時に放出された塵や氷の破片は、彗星の軌道に沿って何億kmにも広がる帯となり、太陽の周囲を回り続けている。毎年8月、地球はこのデブリ帯を通過する。粒子の多くは砂粒からエンドウ豆ほどの大きさで、秒速約59kmで地球の大気に突入する。高速で大気を圧縮して加熱し、粒子を蒸発させるとともに周囲の空気を電離する。その結果、地上からは「流れ星」として見える発光したプラズマの柱が生じる。ほとんどのペルセウス座流星群の流星物質は、高度約80〜120kmで蒸発するため、地上には到達しない。明るいペルセウス座流星に見られる緑色がかった光は、主に上層大気中の酸素の電離と、彗星物質に含まれるマグネシウムの蒸発によるものだ。特に明るく長く光る火球では、粒子に含まれる元素が異なる温度で蒸発するため、途中で色が変化して見えることがある。■日本での観測方法:時間帯、方角、期待できる数いつ見るべきか:日本で最もおすすめの時間帯は、8月12日深夜から13日の明け方にかけてだ。流星群自体の極大は13日11時ごろと予想されているが、この時刻は日本では昼間になる。その直前の夜で、放射点が高くなる13日未明が最も観測しやすい。12日夜は21時ごろから流星が出現し始め、夜半を過ぎて明け方に近づくほど数が増えると予想される。東京では空が白み始める前の3時台が特に見やすく、空の暗い場所では1時間あたり約35個が期待される。13日夜から14日未明も好機で、14日の夜明けごろには約30個が予想されている。どこを見るべきか:流星は放射点を中心に空のあちこちへ現れるため、ペルセウス座だけを見続ける必要はない。建物や木に遮られず、街灯の光が直接目に入らない場所で、できるだけ広い範囲の空を見渡すのがよい。放射点は北東の空から昇り、夜が更けるにつれて高くなる。ただし、放射点に近い流星は短く見え、そこから離れた場所に現れる流星ほど長い光跡を描くことがある。特に明るい火球は、空のどの方向にも現れる可能性がある。何が必要か:望遠鏡や双眼鏡は必要ない。流星はいつどこに現れるか分からず、光っている時間も短いため、視野の広い肉眼観測が最も適している。目が屋外の暗さに慣れるまで、少なくとも15〜20分ほど空を見続けるとよい。観測中にスマートフォンの明るい画面を見ると暗順応が損なわれるため、できるだけ避けたい。街明かりの影響を受ける場所では、見える流星数が暗い場所の何分の1かに減ることがある。惑星観測の機会:8月12日の夜明け前には、木星、水星、火星、天王星、土星、海王星が空に広がる。ただし、天王星と海王星は肉眼では見つけにくく、すべてを観測するには双眼鏡や望遠鏡、正確な位置情報が必要になる。水星や木星は東の低空に位置するため、地平線付近まで開けた場所が望ましい。■ダストトレイルのフィラメントとは何か、2026年は増加する可能性があるか国際流星機構の2026年流星群カレンダーは、地球が1079年にスイフト・タットル彗星から放出されたデブリの軌跡の一部を通過する可能性を示している。日本時間では8月13日1時53分ごろが予測の中心となり、日本から観測しやすい時間帯に当たる。ただし、予測時刻には数時間の幅があり、一時的な増加が必ず起こるとは限らない。このフィラメントとの接近については、モデル上のZHRが43以下と見積もられている。実際に地球が比較的密度の高い部分を通過すれば、通常の活動を一時的に上回る可能性があるが、上昇幅や継続時間を正確に予測することは難しい。スイフト・タットル彗星は、長い年月の間に何度も太陽系の内側を通過してきた。通過するたびに、彗星の軌道上には背景のデブリ帯より密度が高く、まとまったフィラメントが形成される。これらは何世紀もかけて徐々に広がり、分散していく。地球は毎年すべてのフィラメントを横切るわけではない。主に木星などの重力による軌道摂動を受け、デブリの位置は少しずつ変化する。地球が密度の高い部分をかすめると、短時間だけ流星数が増えることがある。1865年に放出されたとされるフィラメントもあり、主極大の少し前に短い増加を生じさせる可能性が指摘されている。2026年は通常の活動に加え、こうしたフィラメントによる増加の可能性もあるため、特定の時刻だけに絞らず、12日深夜から13日の薄明開始まで長く観測するのがよい。■2028年には大幅な増加の可能性も2026年が月明かりのない好条件の年である一方、2028年には流星群自体の活動が大幅に増える可能性が指摘されている。ただし、その規模には予測の幅があり、現時点で確定しているわけではない。2020年に死去したフィンランドの天文学者Esko Lyytinen氏は、2028年8月12日に地球が、1479年にスイフト・タットル彗星から放出された高密度のデブリ・フィラメントから約6万km以内を通過すると計算した。この物質は、地球の軌道と交差しないまま約550年間、太陽系を漂ってきたとみられている。Lyytinen氏の計算では、条件によって流星数が1時間に1000個以上となり、伝統的な定義で「流星雨」または「メテオストーム」に相当する可能性がある。フランスの流星研究者Jérémie Vaubaillon氏も計算を検討している。一方、ロシアの流星研究者Mikhail Maslov氏は、1479年のデブリがすでに分散している可能性を考慮し、1時間あたり250〜300個という、より控えめな予測を示している。いずれの予測でも通常年より活発になる可能性はあるが、正確な規模について専門家の見解は一致していない。ペルセウス座流星群では、スイフト・タットル彗星が太陽系内側を通過していた1991年、1992年、1993年に、1時間あたり数百個規模の活動が観測された。それ以前に同程度の活動があったのは19世紀とされる。Robert Lunsford氏は、近年のペルセウス座流星群の活動が平均を下回っており、2026年もこの傾向が続くと予測する一方、2027年以降に活動が高まる可能性を指摘している。2026年は大出現が保証された年ではないが、月明かりのない良好な条件で通常の活動を観測できる年と位置づけられる。■8月12日の皆既日食と日本からの見え方日食は新月のときにのみ起こる。2026年8月12日の皆既日食と、ペルセウス座流星群の極大期に月明かりがないのは、同じ新月に由来する。皆既日食の帯はグリーンランド、アイスランド、スペイン北部などを通り、皆既継続時間は場所によって最大2分18秒となる。日本は日食の観測範囲に入らないため、国内からこの日食を見ることはできない。米国本土からも皆既日食は見えず、北東部の一部で部分日食として観測できる。部分日食を見る場合は、ISO 12312-2規格に適合する日食観察用の眼鏡など、適切な保護具が必要だ。通常のサングラスや肉眼で太陽を直接見てはならない。スペイン北部などでは、夜明け前の惑星観測、日中から夕方の皆既日食、その後の月明かりのない夜空での流星観測という一連の天文現象を体験できる。ただし、日本では日食を見ることはできず、ペルセウス座流星群が主な観測対象となる。NASAは8月12日午後1時15分(米国東部時間、日本時間13日午前2時15分)から、日食のライブ配信を予定している。NASA+やYouTubeなどを通じ、月の影を追跡するWB-57高高度研究航空機からの映像も配信される予定だ。■スイフト・タットル彗星とプラネタリー・ディフェンススイフト・タットル彗星は、大型の周期彗星として地球の軌道に比較的近づく天体だ。19世紀の一部の計算では、次回の2126年の回帰時に衝突する可能性が示唆されたが、その後の軌道解析では安全に通過すると予測されている。ペルセウス座流星群のデブリ帯は、毎年8月に国際的な観測の対象となる。流星を体系的に数え、IMOの観測データベースに報告する観測者は、地球軌道付近の流星物質の分布を調べる研究に貢献できる。こうしたデータは、太陽系内側に存在する小天体やデブリのサイズ分布、軌道特性を把握するためにも利用される。IMOの火球イベントデータベースによると、2026年8月6日に米国中西部で目撃された火球について、60件を超える報告が寄せられた。特に明るい火球を見た場合は、IMOの火球報告ネットワークに観測場所、時刻、飛行方向などを報告できる。一般にマイナス3等級より明るい流星が火球と呼ばれ、木星に近いか、それ以上の明るさに見えることがある。■ピークの夜を最大限に楽しむ方法暗い場所を選ぶ:街灯や建物の照明が少なく、空が広く見える場所ほど多くの流星を見