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【分析】JPモルガン、S&P 500年末目標を8,000に上方修正 達成のカギは企業利益
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財経新聞:マーケットの最新ニュースフィード
JPモルガンは、S&P 500の年末目標を7,800から8,000へ引き上げた。今回の上方修正は、株価収益率(PER)の上昇ではなく、2026年と2027年の1株当たり利益(EPS)予想の引き上げに基づいている。投資家にとっての焦点は、市場心理による株価上昇ではなく、AIやクラウドへの投資が実際の売上高と利益に結び付くかどうかに移っている。第3四半期と第4四半期の決算が、年末までに目標を達成できるかを左右することになる。【こちらも】ドルの基軸通貨シェアは25年で15ポイント低下 JPモルガンCEOが警告する次の25年■EPS予想の修正が8,000到達の条件を変える理由JPモルガンは10日、S&P 500の年末目標を7,800から8,000へ引き上げると同時に、2026年の1株当たり利益(EPS)予想を350ドル(約5万5,650円、1ドル=159円換算)から365ドル(約5万8,035円)へ、2027年の予想を390ドル(約6万2,010円)から420ドル(約6万6,780円)へ引き上げた。重要なのは目標値そのものではなく、その根拠となった利益予想の修正である。今回の目標引き上げ局面で初めて同行は、投資家が同じ利益に対してより高い評価倍率を支払うことではなく、企業利益の増加によって指数が8,000へ押し上げられることを前提とした。この違いにより、JPモルガンのレポートは、単に切りのよい目標値を掲げただけではない意味を持つ。AI時代に入ってからのS&P 500目標引き上げでは、少なくとも暗黙のうちに、一定のバリュエーション上昇が想定されてきた。ゴールドマン・サックスが2026年5月下旬に年末目標を8,000へ引き上げた際には、予想PERを約21倍と想定していた。EPSが340ドルでPERが21倍なら、指数の理論値は7,140ポイントとなる。8,000までの残りの差については、S&P 500全体の利益成長の約半分を占めるAIインフラ関連企業の成長によって説明されていた。JPモルガンのレポートは、これとは構造的に異なる立場を取っている。同行は、金利の高止まりや地政学的リスク、株式および債券の大量発行が評価倍率上昇の逆風になるとして、予想PERを約20倍に据え置いた。PER20倍で2026年のEPSが365ドルなら、指数の理論値は7,300ポイントとなり、8,000には届かない。PER20倍で8,000に到達するには、1株当たり400ドル近い利益が必要となる。これは同行の2026年予想と、420ドルとする2027年予想の中間に位置する。したがって、JPモルガンが明言せずに示唆しているのは、年末目標の8,000が、2026年から2027年にかけての利益成長を先取りすることを前提としているということだ。指数は現在の企業利益だけでなく、利益が今後向かう水準を織り込んで価格形成されることになる。これはバリュエーション上昇に支えられたシナリオよりも達成条件が厳しく、第3四半期と第4四半期の決算は、12月までに8,000へ到達できるかに直接影響する。このシナリオを評価する投資家にとって、問題はもはや市場心理が評価倍率を押し上げるかどうかではない。クラウド売上高、AIの収益化、非テクノロジー部門の利益成長が、秋にかけて上方修正後の予想どおりに推移するかどうかである。■設備投資への期待から売上高による実証へ 第2四半期が示したもの過去2年間の大半において、ウォール街では、AIインフラに投じられる巨額の資金が投資額に見合うリターンを生むのかが中心的な論点となっていた。2026年第2四半期の決算は、この議論に最終的な決着を付けたわけではないが、強気派にとって有力な根拠を数多く示した。JPモルガンが挙げた仕組みは明確だ。積み上がったクラウド契約の受注残が、会計上の売上高へ転換されることである。米国の会計基準では、クラウド企業は契約額を直ちに売上高として計上できない。顧客からの契約済みコミットメントは、残存履行義務(RPO)という指標に蓄積される。RPOには、請求済みだがまだ売上高として認識されていない金額と、契約済みだが未請求の受注残が含まれる。売上高は、サービスが提供されるのに応じ、四半期ごとに認識される。マイクロソフトの公式決算発表によると、Azureの商用RPOは2026年第2四半期に6,780億ドル(約107兆8,020億円)へ急増し、前年同期比84%増となった。この数字は、定められたスケジュールに沿って売上高へ転換される契約済みの将来収入を表している。実際、Azureの第2四半期売上高は前年同期比43%増となり、受注残から売上高への転換が進んでいることを示した。Amazon Web Services(AWS)の売上高は同四半期に37%増加し、過去18四半期で最も高い伸びとなった。AmazonのAI事業と半導体事業は、それぞれ年間売上高換算で約250億ドル(約3兆9,750億円)を超えた。Google Cloudの売上高は前年同期比82%増の248億ドル(約3兆9,432億円)となり、契約済み受注残は5,140億ドル(約81兆7,260億円)に達した。これらは予測や経営陣による将来の約束ではなく、すでに報告された数値である。対応する売上高の裏付けがない設備投資に対し、投資家の警戒感が強まるなかで公表された実績でもある。■JPモルガンはなぜEPS予想を引き上げたのかEPS予想の修正は、2026年が350ドルから365ドルへ4.3%増、2027年が390ドルから420ドルへ7.7%増となった。これは、第2四半期の企業業績を踏まえれば、通期の利益予想を引き上げることが妥当だとする同行の判断を反映している。同四半期の集計データも、この上方修正を裏付けている。LSEGによると、直前の金曜日までに決算を発表したS&P 500構成企業436社のうち、85.1%がアナリストの利益予想を上回った。これは1994年以降の長期平均である68%を大きく上回る。8月7日時点で構成企業の88%を対象としたFactSetの集計では、86%がアナリストのEPS予想を上回り、2021年第2四半期以来の高水準となった。全体の利益は予想を29.2%上回り、FactSetが2008年にこの指標の集計を開始して以来、最大の上振れ率を記録した。FactSetによると、第2四半期の実績値と予想値を合わせた前年同期比利益成長率は50.4%に達し、91.6%だった2021年第2四半期以来の高い伸びとなった。ただし、この数字は、異例に大きな一時的なGAAP上の利益によって押し上げられている。Alphabetの第2四半期EPSには、未実現の持分証券評価益990億ドル(約15兆7,410億円)が含まれ、AmazonのEPSにはAnthropicへの投資による利益534億ドル(約8兆4,906億円)が含まれていた。AlphabetとAmazonを除くと、利益成長率は32%まで低下する。それでも、25%を超える成長は2四半期連続であり、2桁の利益成長は7四半期連続となる。利益だけでなく、売上高も好調さを裏付けた。第2四半期の前年同期比売上高成長率は15.0%に達し、2021年第4四半期以来の高い伸びとなった。構成企業の76%が売上高予想を上回った。■減価償却費の増加が将来予想に与える影響強気のコンセンサスが形成される一方で、無視できない慎重論もある。その論点は、受注残から売上高への転換を有力な成長材料にしているのと同じ会計上の仕組みに関係している。ハイパースケーラーが半導体を購入し、データセンターを建設した場合、その支出は直ちに費用として処理されるのではなく、資産として計上される。そのコストは、減価償却費や償却費として時間をかけて損益計算書へ反映される。この仕組みでは、現在の利益が力強く見える一方、将来計上されるコストが背後で積み上がることになる。Real Investment Adviceのアナリスト、ランス・ロバーツ氏は、この差額の規模を分析している。上位5社のハイパースケーラーは、2026年にAIインフラへ約7,600億ドル(約120兆8,400億円)を投じる見通しである一方、同年に計上する減価償却費は約2,110億ドル(約33兆5,490億円)とされる。差額に当たる約5,490億ドル(約87兆2,910億円)のコストは将来に繰り延べられ、データセンターが2028年にかけて稼働するのに伴い、損益計算書上での費用計上が加速する。ゴールドマン・サックスの調査も、現在の投資サイクルから生じる減価償却費がテクノロジー企業の売上高に占める割合について、2022年のハイパースケーラー売上高の7%から、2027年には12%へ上昇すると予測している。減価償却費の増加は、JPモルガンのシナリオを否定するものではない。AWSの第2四半期営業利益率は、設備投資が最も集中的な時期であったにもかかわらず39.4%へ上昇し、同事業として過去最高となった。これは、クラウド契約から生じる売上高により、減価償却費が増えても利益率を維持できる可能性を示している。Google Cloudの営業利益率も、前年同期の20.7%から35.6%へ上昇した。ただし、減価償却費の影響が強まる2027年は、会計上の利益を維持することが最も難しくなる時期でもある。2026年末の目標が達成されるかどうかは、その影響が本格化する前に決まることになる。Meta Platformsの事例は、市場が依然として設備投資の増加に敏感であることを示した。同社は第2四半期に28%の売上高成長を記録したものの、設備投資見通しを引き上げた後、株価は当初売られた。足元の売上高が好調でも、投資家が収益化への道筋を注視していることを示す例である。■主要7証券会社の予想が8,000前後に集まった理由JPモルガンの目標引き上げにより、5月以降に形成されてきた主要証券会社の足並みがさらにそろった。ゴールドマン・サックスは2026年5月27日、S&P 500の年末目標を7,600から8,000へ引き上げた。ドイツ銀行とモルガン・スタンレーもすでに同じ水準を予想していた。シティグループは6月に目標を8,100へ引き上げた。現在、少なくとも主要証券会社7社が、12月までに指数が8,000以上へ到達するとみている。顧客基盤、マクロ経済の前提、セクターごとの分析モデルが異なる複数の証券会社の予想が、単一の目標付近へ収束していること自体が市場シグナルになる。ウォール街の主要銀行による指数目標の幅が8,000から8,100へ狭まっていることは、基礎となる利益見通しが広く共有されていることを示す。減価償却費が増える速度、AI関連売上高の価格水準がどこまで持続するか、FRBが9月に利上げするかといった点では意見が分かれているものの、それらは到達点そのものより、そこへ至る速度をめぐる相違である。■8,000到達の可能性を判断するにはJPモルガンの新たな目標は、S&P 500の直近終値である7,757.64から約3.1%の上昇余地を示す。上昇幅自体は小さいものの、単に目標数値を引き上げる場合よりも、企業利益という持続性のある分析根拠に基づいている。8,000到達に必要な利益成長が実現するかどうかを判断するうえでは、次の3つの指標が重要になる。クラウド受注残の売上高への転換率:Azure、AWS、Google CloudがRPOや受注残として開示している顧客との契約済みコミットメントは、合計で1兆6,000億ドル(約254兆4,000億円)を超える。これらが2027年のサービス提供分へずれ込まず、2026年後半に売上高として認識されるかどうかが、EPSの成長軌道を維持できるかを判断する最も直接的な指標となる。非テクノロジー部門の利益モメンタム:FactSetは、マグニフィセント・セブンを除くS&P 500構成企業493社の利益が、2026年第4四半期に25.3%増加すると予測している。実現すれ