2026年1〜7月の中露二国間貿易額は前年同期比26.3%増の1592億4000万ドル(約25兆1599億円)に達し、商業決済の99.1%がルーブルと人民元で行われていることが明らかになった。米ドルを介さない決済インフラが定着したことで、西側諸国による金融制裁の影響力が構造的に低下している。現在のペースが続けば、年末までに貿易額は2800億ドル(約44兆2400億円)規模に達する可能性がある。■予想を上回る回復ペース中国税関総署が木曜日(8月6日)に発表したデータによると、2026年1〜7月の中露二国間貿易額は前年同期比26.3%増の1592億4000万ドル(約25兆1599億円、1ドル=158円換算、以下同)を記録した。今回のデータが示すのは、商品取引量の増加だけでなく、両国間の金融インフラの変化である。商業決済の99.1%は現在、ルーブルと人民元で行われており、年末には2800億ドル(約44兆2400億円)に達する可能性がある貿易ルートから、米ドルがほぼ姿を消している。この割合は、第11回中露金融対話でロシアのアントン・シルアノフ財務相が確認した。中露間の貿易ルートは、主要経済国間の二国間貿易がドル建ての決済インフラを介さずに持続的に機能し得ることを示す、取引規模が最大で運用期間も最長の概念実証となった。この影響は両国関係にとどまらない。脱ドル化が1パーセントポイント進むごとに、外交政策の手段として米国が金融制裁を行使する構造的な能力は低下する。これはロシアに対してだけでなく、モスクワと北京が実現可能性を示したインフラ構築を自国の参考にする、ほかの経済圏に対しても同様である。1月から7月にかけて、ロシアの中国向け輸出は23.7%増の864億ドル(約13兆6512億円)に達し、中国からロシアへの輸出は、さらに大きい29.5%増の728億ドル(約11兆5024億円)となった。7月単月の二国間貿易額は250億ドル(約3兆9500億円)に達し、上半期に記録した25.6%増という拡大の勢いを維持した。最新の数値は、二国間貿易が約7%減の2279億ドル(約36兆82億円)に落ち込んだ2025年からの明確な反転を示している。2025年の減少は5年ぶりで、中国のロシア向け自動車輸出の減少とロシアの石油収入の減少が足かせとなった。この落ち込みを受け、アナリストは両国の貿易関係が頭打ちになったのではないかと疑問視していた。しかし、月を追うごとに強まるデータによって、そうした疑念はいったん後退した。成長の加速は一貫している。貿易額は1〜4月に19.7%増、5月までに約23%増となり、上半期全体では25.6%増、7月までの累計では26%を超えた。現在のペースで推移すれば、年間の二国間貿易額は2800億ドルに迫るか、それを超える可能性がある。これは、それまでの過去最高だった2024年の2448億ドル(約38兆6784億円)を大きく上回る水準である。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、キルギスで開催された上海協力機構(SCO)外相会議に合わせて、両国は年間の過去最高額の更新に向かっていると述べた。「Russia's Pivot to Asia」の分析によると、ラブロフ氏は現在の軌道では3000億ドル(約47兆4000億円)に近づくとの見通しを示した。■ドルはいかにして排除されたか:CIPSと人民元・ルーブル決済網中露間の決済から米ドルがほぼ完全に排除されたのは偶然ではない。これは4年をかけて、西側の政策立案者が直接の標的としないことをおおむね選択してきた、特定の技術インフラの上に構築された。中国人民銀行が2015年に立ち上げた「人民元国際決済システム(CIPS)」が、この移行の技術的基盤となっている。金融機関間で決済情報を伝えるメッセージングシステムであるSWIFTとは異なり、CIPSは人民元取引のメッセージングと資金決済・清算の両方を提供する。CIPSの直接参加者であるロシアの商業銀行は、専用の国際イーサネット専用線(IEPL)を介して接続している。この経路では、SWIFTのネットワークを一切通さず、支払い指図をCIPSの決済インフラに直接送信する。世界のCIPS取引の約80%は依然としてSWIFTのメッセージングを使用しているが、2022年3月以降にSWIFTから切断された制裁対象のロシアの銀行は、IEPLによる直接接続を使用している。その結果、通貨面では米ドルを使わず、情報伝送面でもSWIFTを経由しない決済が実現している。ロシアはまた、国内取引と一部の二国間取引に使うSWIFTの代替手段として、独自の金融メッセージングシステム「SPFS」を導入している。モスクワはSPFSとCIPSを直接接続する仕組みを求めてきたが、北京はこれまで受け入れていない。正式な接続網を構築すれば、中国の銀行が米国の二次的制裁、いわゆるセカンダリーサンクションのリスクにさらされることを懸念しているためだ。その代わりに、ロシアの銀行は直接参加行としてCIPSに接続している。機能上の効果は同等であり、米ドルへの交換を必要とせず、西側が管理するインフラを経由しない人民元・ルーブル取引が可能となっている。ロシアの輸入業者にとって、ロシアの商業銀行に開設した人民元口座は日常的な決済手段となっている。企業に人民元をほかの通貨へ強制的に交換させる要件もない。機械、電子機器、自動車をロシアに出荷する中国の輸出業者にとっても、人民元決済が通常の運用となっている。残る実務上の摩擦は、技術的というより制度的なものである。2023年後半以降、中国工商銀行(ICBC)、中国農業銀行、中国建設銀行を含む中国の主要国有銀行数行は、米国の二次的制裁を受けるリスクを理由に、ロシアの取引先に対する人民元決済サービスを大幅に縮小または停止した。一方、中国銀行のロシア法人や小規模な中国の金融機関はサービスを継続した。状況は流動的であり、ある四半期にロシア関連の決済を処理していた中国の銀行が、次の四半期には取り扱いを一時停止する場合もある。そのため、ロシアの輸入業者がアラブ首長国連邦(UAE)やトルコの仲介業者を経由せざるを得なくなることがある。こうしたコンプライアンス上の摩擦が、99.1%という脱ドル化率が摩擦のない貿易に直結していない理由である。支払いの遅延、仲介手数料、複数の送金経路を維持するための諸経費は、双方に現実のコストを生じさせている。それでも、この摩擦は貿易の成長を止めておらず、両国政府が負担する意思を持っているとみられる取引コストを加えたにすぎない。■国境を越える物資と西側制裁への示唆貿易品目の構成は、全体の取引額と同じくらい重要である。ロシアの輸出品では、原油が依然として大きな割合を占める。2026年上半期の中国によるロシア産原油の購入額は、前年同期比31%超増の331億ドル(約5兆2298億円)に達した。ロシアは2026年1月、サウジアラビアを上回り、中国最大の原油供給国となった。「Merics China-Russia Dashboard」によると、中国がロシア産原油を購入する際の値引き率は、2022年2月の侵攻直後に約18%でピークに達した後、約5%まで縮小している。これは、ロシアの交渉力が強まったことと、中国がこの供給関係を戦略的に重視していることの双方を反映している。同期間には、中国によるロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入も急増し、金、銅鉱石、アルミニウム、水産物も同様に増加した。ロシアから中国への金・貴金属の輸出も大幅に増えている。その理由の一つは、貴金属がロシアの金融商品に対する制裁を回避するための比較的有効な手段となっていることだ。中国の輸出品目には、ロシアが西側の供給元を中国製品に組織的に置き換えている状況が表れている。2026年上半期の中国のロシア向け自動車輸出は金額ベースで134.7%増となり、2025年同期の26億6000万ドル(約4203億円)から62億4000万ドル(約9859億円)に達した。同期間、中国からロシアへの集積回路(IC)の輸出は183.4%増加した。ロシアの製造業者が西側から調達していた投入財を中国製品に置き換えているため、機械、光学機器、電気加熱部品、産業用部品の輸出も大幅に増えている。集積回路の数字は、西側の制裁体制を考えるうえで特に重要である。現在、中国は輸出規制対象リストに含まれる品目について、ロシアの輸入量の推定90%を供給している。この数字は、2022年以降、西側および日本の半導体供給企業がロシア市場からほぼ全面的に撤退した状況とも符合する。米中経済安全保障調査委員会は、中国によるロシア、イラン、北朝鮮の制裁回避への関与について、意図せず生じた商業活動の副産物ではなく、意図的な戦略上のパターンだと正式に文書化している。西側諸国は、制裁の執行を強化することで対応している。EUの第21次制裁パッケージ(2026年7月23日)は、個人や団体を対象とする指定として過去4年間で最大規模となり、第三国の暗号資産分野全体を禁止対象にできるEU初の権限を導入した。英国は8月6日、ミサイル誘導装置やドローンの航法システムに使われるレアメタルのタンタルとニオブを輸入したとして、ロシア企業4社を制裁対象に指定した。また、インドを拠点とする船舶管理会社を、英国の対ロシア制裁リストで初となるこの種の第三国企業として指定した。■「ロシア制裁法」がこの貿易に及ばない理由審議中の「ロシア制裁法(Sanctioning Russia Act)」は、2026年7月にホワイトハウスの支持を得て手続きが進み、ロシア産エネルギーを購入する国に対して500%の二次関税を課す権限を認める内容である。その仕組みは、中国とインドによる米国市場への依存を標的としており、中露の決済インフラそのものを対象としたものではない。この違いは法案の欠陥ではない。ドルを基盤とする金融システムが、中露の二国間取引に対して、もはや大きな影響力を持っていないという構造的な現実を反映している。ロシア制裁法の影響力は、米国市場から排除するとの圧力を通じて働く。中国の米国向け年間輸出額5000億ドル(約79兆円)は、依然として中国にとって大きな弱点となり得る。しかし、北京の報復姿勢は強まっている。EUが第21次制裁パッケージを発表した翌日、中国商務部は欧州の防衛・技術企業14社を独自の輸出管理リストに追加した。東方研究センター(OSW)のアナリストは、この対応を「スピードと強度の点で前例がない」と評価した。これは、北京が対抗措置を確立された対応手段と見なすようになったことを示している。貿易データが提起する現実的な疑問は、米国に輸入される中国製品への500%の関税という圧力が、年間2800億ドル規模の貿易関係を中国に放棄させるのに十分かどうかである。この貿易関係は、ロシアの戦時経済と中国のエネルギー安全保障に構造的に組み込まれている。500%の関税が実施されれば、現代史で最も激しい貿易対立の一つとなる。元米財務省当局者のキャサリン・ウルフラム氏は2026年1月、米国政府による圧力について「ロシアとインドが米国政府のはったりを見破るのではないかと懸念している」と記した。同氏は同月のアルジャジーラのインタビューで、中国との貿易交渉を続けながら関税による圧力を実行する場合、米国が負担するコストは「無視できるものではない」と述べた。■水面下の摩擦と制約記録的な成長ペースは、中露関係に構造的な制約がないことを意味しない。モスクワ・タイムズのアナリストは2026年5月、前年比で見た高い成長率の一部は、低迷した2025年との比較によって押し上げられていると指摘した。実際のピークだった2024年と比べると、2026年1〜4月の成長率は10%前後であり、前年同期比が示す伸び率のおよそ半分だった。エネルギーパイプラインの輸送能力も、成長を制約する別の要因である。ロシアの中国向けガス輸出は、既存の「シベリアの力」パイプ