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【分析】SpaceXの上場後初決算、焦点はQ2ではなく「下半期のAI売上加速」を証明できるか
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SpaceXは米国時間8月4日(日本時間5日)、上場後初となる2026年第2四半期(Q2)決算を発表する。投資家の最大の関心事は、アナリストが前提としている下半期の大幅な売上加速について、経営陣がその始まりを示せるかどうかに集まっている。決算発表の2日後には過去最大規模のロックアップ解除も控えており、Googleなどとの大型AIコンピュート契約の収益化時期やStarlinkの成長をめぐる懸念に対する説明が、今後の株価を左右する未確定要素となっている。■決算発表の真の焦点はQ2ではなく下半期の加速SpaceXが8月4日(火)の市場取引終了後(日本時間5日早朝)に2026年第2四半期(Q2)決算を発表する際、見出しとなる売上高の数字だけでは、投資家が最も知りたいことは分からないだろう。株価は108ドル(約1万7000円、1ドル=158円換算)と、IPO価格の135ドル(約2万1300円)から約20%下落しており、わずか4日前には日中の過去最安値となる107.01ドル(約1万6900円)を記録した。こうした状況で、火曜日の決算説明会の真の試金石は、Q2の売上高がコンセンサス予想の68億7000万ドル(約1兆850億円)を上回るかどうかではない。アナリストが暗黙のうちに既定路線として扱っているものの、契約スケジュール上はまだ裏付けられていない「下半期(H2)の売上加速の始まり」を、経営陣が示せるかどうかである。この加速の前提となる計算は明確だ。SpaceXのQ1売上高は約46億9000万ドル(約7410億円)になると見込まれ、Q2のコンセンサス予想である68億7000万ドルと合わせると、上半期の合計は約115億6000万ドル(約1兆8260億円)となる。HSBCやMorgan Stanleyなど主要投資銀行3社は、2026年通期の売上高を約380億ドル(約6兆円)から500億ドル(約7兆9000億円)超の範囲で予測している。これらの予測のうち最も保守的な数字を達成するだけでも、下半期に約266億ドル(約4兆2000億円)を生み出す必要がある。これは上半期のペースの2倍以上であり、四半期あたり約133億ドル(約2兆1000億円)に相当する。最も楽観的な予測では、下半期の売上高は340億ドル(約5兆3700億円)、四半期あたり約170億ドル(約2兆6800億円)となる。現在の価格でSPCX株を買う強気派は、このシナリオを織り込んでいるのだ。■Googleの大型契約はQ2売上には反映されずその下半期の加速を支える主なエンジンは、StarlinkでもFalcon 9でもない。コンピュートリース事業、すなわち、もともとGrokを稼働させるために構築されたSpaceXのxAIデータセンターの処理能力を、異例の高額な月額料金で大手AI企業に貸し出すビジネスである。ここで重要となる契約が3つある。2026年5月、Anthropicは、SpaceXのメンフィス・データセンター「Colossus 1」への独占アクセス権として、月額12億5000万ドル(約1975億円)を支払うことに合意した。同施設には300メガワットの設備容量があり、約22万~32万5000基のNvidia製GPUが収容されている。この契約は2029年5月まで継続し、おおむね5月から売上に寄与し始めた。つまり、Q2(4月~6月)にはAnthropicとの契約による売上約2か月分が寄与すると見込まれる。ただし、契約開始時のランプアップ料金やSpaceXの収益認識方針が明らかでないため、Q2に計上される金額は少なくとも25億ドルは下回ると考えられる。6月には、Googleの親会社であるAlphabetが、約11万基のGPUを対象とする月額約9億2000万ドル(約1450億円)の同様の契約を結んだ。しかし、Googleの契約が本格的に始まるのは10月であり、9月までは「減額された料金」での立ち上げ期間となる。また、9月30日までに契約上確約したGPUを提供できなければ、契約を解除される可能性がある。そのため、Q2にはGoogleのコンピュート売上が計上されるとしても限定的とみられる。さらに、AIスタートアップのReflection AIとの月額1億5000万ドル(約237億円)の第3の契約も7月1日に始まったため、Q2の対象期間外となる。アナリストのモデルが前提とする下半期の加速は、主としてQ4に始まるGoogleとの契約に依存しており、SpaceXが8月4日に示すQ2の数字だけでは確認できない。■初のSEC提出書類(10-Q)で明らかになる事実見出しとなる売上高の数字以上に、4日に提出される10-Q、すなわち上場企業となったSpaceXに初めて提出が義務付けられる四半期報告書には、市場がこれまで目にしたことのない開示情報が含まれることになる。顧客との契約から生じる収益を扱う会計基準「ASC 606」に基づき、SpaceXは顧客タイプ別の売上高の内訳、残存履行義務(契約済みだがまだ収益として認識されていない将来の対価の合計)、およびAIコンピュート契約に関する同社の収益認識方針を開示しなければならない。これは単なる手続き上の注記ではない。残存履行義務の開示は、AnthropicやGoogleとの契約について、SpaceXが契約済みだがまだ売上高として認識していない対価を、会計上どの範囲まで開示対象としているかを判断する重要な材料になる。また、SpaceXが大規模なコンピュート利用契約をどのような方針で収益認識しているかを、投資家に初めて示すことになる。ただし、解除条項や料金調整、すでに履行したサービスなどが反映されるため、残存履行義務の数字が契約上の最大総額と一致するとは限らない。これらの契約の規模と新規性を踏まえれば、収益認識方針や関連するリスク開示は、SECスタッフによる提出書類のレビューで注目される可能性がある。また、AnthropicとGoogleの契約には、2026年12月31日以降に適用される90日前通知の契約解除条項も含まれている。10-Qは、これらの契約をめぐるSpaceXの法的義務とリスク要因が、SECに提出される公開文書に記載される初めての機会となる。■Starlink:唯一の黒字部門だがARPU低下の圧力Starlinkは依然として会社全体の財務基盤である。2026年第1四半期、コネクティビティ部門は32億6000万ドル(約5150億円)の売上高を記録し、AI部門の8億2000万ドル(約1295億円)の4倍近くとなった。2025年通期では、Starlinkは114億ドル(約1兆8000億円)の売上高と約44億ドル(約6950億円)の営業利益を報告し、調整後EBITDAマージンは約63%だった。しかし、火曜日の決算説明会では2つの動向が重要になる。第一に、加入者数の推移である。Morgan Stanleyは、コネクティビティ部門の加入者数が2025年末の890万人から2026年末には1680万人へ増加すると予測している。SpaceXは2026年Q1時点で、164カ国に1030万人の加入者がいると報告しており、2024年末の440万人から増加している。Q2開始時点の1030万人から年末までに1680万人へ到達するには、下半期に加入者の増加ペースが大幅に加速する必要がある。第二に、より構造的な問題として、Starlinkユーザー1人あたりの平均売上高(ARPU)が低下している。2023年の月額約99ドル(約1万5600円)から、2026年Q1には月額約66ドル(約1万400円)へと約33%下落した。主な要因は、海外市場向けの低価格プランである。SpaceX自身も目論見書で、この傾向が続くとの見通しを開示している。加入者数が力強く増加してもARPUが安定しなければ、コネクティビティ部門の売上成長率は、加入者数の伸びから想定されるほど高くならない可能性がある。■Starship第13回飛行:展開には成功するも再利用性に課題7月24日のテスト打ち上げで、SpaceXのStarshipロケットは、サウステキサスのStarbaseから20機のStarlink V3衛星を初めて展開し、衛星との通信にも成功した。衛星は試験用の準軌道に投入され、その後大気圏へ再突入する計画だった。しかし、この打ち上げは投資家にとって重要な違いを浮き彫りにした。SpaceXは衛星の展開能力を証明したものの、完全かつ迅速な再利用性を実証するには至らなかった。Super Heavyブースター20は着水時の減速噴射で、予定されていた13基すべてのエンジンを点火できず、計画より激しい海面着水となった。この飛行を明確な好材料と評価したUBSは、第14回飛行ではブースターのタワーキャッチ(発射塔による回収)は行われないと予想し、第15回飛行で試みられる可能性があると推定している。この違いが重要なのは、Raymond Jamesによる1株800ドル(約12万6400円)という目標株価を含め、SPCXの最も高い評価額が、Starshipによる「航空機のような短時間での再運航を可能にする経済性」の実現を前提としているからだ。具体的には、すべての飛行で発射塔によるブースター回収と完全再利用を実現し、Starlink V3の拡張や軌道上コンピュートインフラの構築に必要な打ち上げコストを劇的に引き下げる必要がある。第13回飛行はStarshipが十分な能力を持つロケットであることを示したが、コスト効率の高いロケットであることまでは、まだ証明していない。■IPOを上回る規模のロックアップ解除火曜日の決算発表から2営業日後の8月6日、株式市場史上最大規模となる第1段階のインサイダー向けロックアップ解除が行われる。SpaceXの段階的なロックアップ構造の条件に基づき、インサイダー保有株の最大20%、約9億1150万株が売却可能となる。7月31日の終値108.37ドルで計算すると、これらの株式は約988億ドル(約15兆6100億円)の潜在的な売却可能額に相当する。この数字は、SpaceXが6月12日のIPOで調達した857億ドル(約13兆5400億円)を上回る。業績条件付きのトランシェとして、制限付き株式のさらに10%に当たる約4億5580万株も、SPCX株が直近10営業日のうち5営業日以上にわたり、IPO価格135ドルを少なくとも30%上回って取引されていれば解除される予定だった。しかし、その基準となる175.50ドル(約2万7700円)には達していないため、この追加トランシェは解除されない。その後は10月まで約2週間ごとに約7%ずつ解除される予定であり、Q3決算に連動するさらに大規模なトランシェを経て、標準的な180日間のロックアップは2026年12月8日~9日ごろに完全に終了する。イーロン・マスク個人が保有する約64億株は、2027年6月12日まで解除されない366日間の別個のロックアップの対象となっている。HSBCは7月25日、SPCXのカバレッジを「Hold(中立)」の投資判断と115ドル(約1万8100円)の目標株価で開始した。その際、8月6日のトランシェ解除によって浮動株比率が約4.9%から約11.8%へ上昇し、市場で取引可能な株式数が2倍以上になると推定した。Q2の好決算が、この供給を吸収できるだけの買い需要を生み出すかどうかは需給上の問題であり、火曜日の決算報告だけでは答えは出ないだろう。■ショートセラーの動向とガバナンスリスク分析会社S3 Partnersによると、7月下旬の時点で約2億600万株のSPCX株が空売りされていた。これは市場で取引可能な浮動株の約32%、想定元本にして約250億ドル(約3兆9500億円)の弱気ポジションに相当する。この集中は、Q2決算をきっかけに継続的な買いが入った場合、ショートスクイーズ(空売りの買い戻しによる株価上昇)が発生し得る条件を作り出している。空売りされている約2