本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。今回は、完全無線型カメラの提供を通し、全国に導入事例を広げている LiLz 代表取締役社長の大西 […]本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。今回は、完全無線型カメラの提供を通し、全国に導入事例を広げている LiLz 代表取締役社長の大西敬吾氏に話を伺った。IoT と AI の融合で現場の点検業務を効率化LiLz は、産業現場の点検業務を効率化するソリューションを提供する企業。主力製品の「LiLz Cam」は、電源やネットワーク工事が不要な完全無線型のカメラで、過酷な環境や防爆エリアにも対応可能だ。このカメラで撮影した画像は、同社のサービスで自動解析され、メーターの読み取りや異常検知を遠隔で行うことができる。導入の対象となっているのは、巨大な施設や設備を有している企業。そのような施設や設備では、ボイラー室のような、蒸気や温・冷水がある、いちいち人が確認するには厳しい環境なことが多い。これらの設備はデジタル化が遅れている。同社のサービスはこのような国内外の幅広い現場で「現場の仕事をラクにする」ため、施設で点検作業の自動化を推進してきた。四足歩行ロボットの連携も直近では、大企業との提携を通じた現場への実装が加速している。JR東日本スタートアップとの資本業務提携では、GALA湯沢スキー場における関連設備の点検で成果を上げている。LiLz Cam のようなサービスは、巨大な設備投資を行なっている大手企業が中心の導入になるため、1つの事例が社内での横展開につながり、じわじわと広がるケースも多いという。さらに今年6月には、月島 JFE アクアソリューションと資本・技術提携を行い、水処理プラント向けに「五感 IoT カメラと四足歩行ロボットを連携させた点検ソリューション」の共同開発にも乗り出した。この点検作業の DX において重要なのは、「定点カメラ」と「四足歩行ロボット」の活用のバランスだ。数万個単位に及ぶ点検箇所のすべてに定点カメラを設置するのは、予算やメンテナンスの面で現実的ではない。だからこそ、基本はロボットが移動して確認することでコストを抑え、高所や狭所などのロボットが入り込めないデッドスポットには定点カメラを設置する、というバランスの取れたハイブリッド運用が不可欠となっている。また、AI エージェントによる点検レポート自動作成サービス「LiLz Insight」のパイロット版も公開し、点検後の周辺業務の DX 化にも着手している。2030年までに5万台導入へ今後の大きな目標として、同社は現在約1万台である導入数を、2030年までに5万台規模へと拡大することを見据えている。さらに、海外展開への挑戦も進行中だ。ハードウェアの海外認証には膨大な時間とコストがかかるというハードルがあるため、戦略的なアプローチをとっている。「現在、アメリカ・マレーシア・タイを中心に海外展開を進めています。まずは、日本法人の海外拠点を中心に普及を進めたいと考えています」(大西氏)。沖縄から世界で活躍するスタートアップ企業となれるのか。取材・執筆:安立沙耶佳/編集:平野武士