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更年期によるサイレント・ロスを防ぐ。沖縄発・女性医療の変革者が挑む新たなケアの形 #KOZAROCKS2026
['Bridge Contributors']
BRIDGE(ブリッジ)
本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。 HerLifeLab は、働く女性が更年期の不調により本来のパフォーマンスを発揮できなくなる「 […]本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。HerLifeLab は、働く女性が更年期の不調により本来のパフォーマンスを発揮できなくなる「サイレント・ロス(静かな離職や損失)」を防ぐため、オンライン更年期ケアサービス「Vivalle(ビバエル)」を、企業向け・個人向けの両軸で展開しているスタートアップだ。同社の代表取締役 CEO であり、ベラルーシ出身のエリセーバ オリガ氏に話を聞いた。更年期ケアの常識を覆すオンライン診療沖縄科学技術大学院大学(OIST)の客員研究員らが創業した同社は、医療従事者による丁寧なカウンセリングと専門医のオンライン診療を組み合わせた「伴走型」のケアを強みとしている。すでに個人ユーザーは拡大しており、法人向けの「Vivalle for Business」も、パソナグループや NTT ドコモなどの大手企業で導入が進むなど、事業成長を加速させている。直近の大きな成果として、同社は経済産業省のフェムテック等サポートサービス実証事業に採択された。本事業を通じた実証では、利用者の92%が症状の改善を実感したという結果が得られている。日本の女性には更年期症状をはじめとした不調を「我慢するもの」と捉える文化が根強く、対処の対象であると認識されていないケースが多い。同社は獲得した補助金や資金を、ホルモン補充療法や漢方以外の治療ソリューションの拡充、蓄積したデータ活用による医師の意思決定支援、そしてカウンセリングの DX 化という3つのアプローチでプロダクトを強化していく方針だ。「カウンセリング DX と言っても、カウンセリング自体を自動化しようとは考えていません。これまで誰にも言えなかった不調や葛藤を涙ながらに打ち明けてくださる方々がたくさんいらっしゃいます。そうした深い安心感を提供できることこそが、私たちが届けるべき顧客体験の根幹なのです」(エリセーバ氏)。総額1.3億円を調達さらなる事業拡大に向け同社は今年6月、プレシリーズ A ラウンドにおいて総額1.3億円の資金調達を実施した。引受先には、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、沖縄振興開発金融公庫、津梁ファンドのほか、主に医療従事者である個人エンジェル投資家8名が参画している。これまで更年期症状にアプローチするスタートアップが現れなかった背景に、更年期症状の保険点数の低さと専門医の不足が挙げられる。病院へ行っても医師と話す時間は3分程度だった、という経験をしたことがある人は多いだろう。更年期症状においては、この「話す」時間こそが症状緩和を左右する要素である。にもかかわらず、見合った保険点数が配分されているわけではないため、どうしても医療機関からは「時間はかかるが収益性が低い領域」とされがちなのである。そのような状況を打破するためにも、調達した資金を、医師の意思決定支援の機能強化に充てることは重要だという。目指すは月間利用者1万人今後の展開として、同社は短期的な目標に「月間利用者数1万人」を掲げている。更年期症状によるパフォーマンス低下は、個人の問題にとどまらず、社会にとっても約1.9兆円の経済損失をもたらす深刻な課題だ。HerLifeLab は、日本国内で確固たるインフラとしてサービスを定着させたのち、将来的には、日本と比較的近い「忍耐」を美徳とする文化を持つといわれている台湾をはじめとしたアジア市場への展開も見据えている。取材・執筆:安立沙耶佳/編集:平野武士