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自然データでファイナンスリスクを回避するシンクネイチャー、沖縄の生物多様性を活かす #KOZAROCKS2026
['Bridge Contributors']
BRIDGE(ブリッジ)
本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。今回は、生物多様性ビッグデータと AI 解析で自然の価値を定量化するネイチャーテック事業を展開す […]本稿は沖縄県のコザで開催された KOZAROCKS 2026の取材会に参加してくれたスタートアップのみなさんを取材したもの。今回は、生物多様性ビッグデータと AI 解析で自然の価値を定量化するネイチャーテック事業を展開するシンク・ネイチャー 代表取締役 CEO の久保田康裕氏に話を聞いた。自然データでファイナンスリスクを回避シンク・ネイチャーは、沖縄発のスタートアップとして、膨大な生物多様性ビッグデータと AI 解析を駆使し、自然の価値を定量化するネイチャーテック領域の事業を展開している企業だ。これまで、自然は「なんとなく」で語られることが多かった。「環境が悪化している」「生物は減っている」と、感覚的に言われることはあるが、それに対するエビデンスは薄いことも多い。結果的に、自治体など、自然環境に対して何らかのアクションを行う必要がある機関や企業は、現状が把握できず、対策を講じることが難しくなってしまう。同社はこうした課題に対し、自然資本を空間的に可視化する「ネイチャーDX」を提供し、企業や自治体が科学的根拠に基づいて的確な環境対策を打てるよう情報基盤から支援している。現代のビジネスにおいて、自然資本・気候変動対策は、ファイナンスリスクと直結する重要な課題になりつつある。例えば、温暖化や生物多様性の劣化による農作物・水産資源の減少は、企業の事業継続を直接的に脅かす。気候変動や自然資本の劣化を可視化し、これらのリスクを科学的なアプローチで早期に予見、対策を講じることは、企業の持続可能性を高め、市場での競合優位性を獲得するために不可欠なステップだ。資金調達で加速するグローバル展開同社は事業の初期から海外展開を強く意識しており、フィンランドに拠点を置いてネイチャークレジットの世界的な権威であるヘルシンキ大学の教授を最高科学責任者として迎え入れていることも大きな特徴だ。直近の大きな動きとして今年4月、同社は総額約3.8億円の資金調達を実施した。この資金をもとにグローバルな海外人材の採用を進め、地政学的リスクなどに備えた企業のサプライチェーン強靭化に向けたプロダクトの開発を加速させるそうだ。さらに、沖縄県内の生物観察を通して市民の自然に対する意識向上を促すアプリ「Dugongs’ EYE」を用いた教育プログラムも始動している。自然資本・気候変動対策に対して敏感な大手企業をメインに取引している同社が、なぜ消費者向け事業の展開に注力するのか。それは、企業が環境に配慮した活動を行うことで、商品のコストに影響があるからだという。「企業が自然環境に配慮した事業を行うにはどうしてもコストがかかり、それは最終的に商品の価格に反映されます。だからこそ、企業のアクションが価値あるものだと一般の消費者に理解してもらい、消費行動の変革を促すための活動が中長期的には非常に重要になります」(久保田氏)。コストが多少高くても、環境に配慮した企業のアクションを応援しようという意識を消費者に持ってもらうためにも、消費者向け事業を展開し、自然に対する意識変革に努めることはこの企業のビジネスにとって重要という位置付けだ。沖縄は世界でも有数の豊かなサンゴ礁の多様性を誇り、生物種の多さも日本一を誇るエリア。ただし、同時に開発による自然劣化の課題にも直面している。沖縄という場所だからこそ、「ネイチャーポジティブ」や自然と共生する世界を目指すシンクタンクとしての必然性が高まる。取材・執筆:安立沙耶佳/編集:平野武士