カプコンは2026年7月28日、過去最高となる第1四半期決算を発表した。新規IP『プラグマタ』の好調な滑り出しや、『バイオハザード レクイエム』の継続的な販売増が業績を牽引し、同社は9期連続で各利益項目の過去最高を更新した。本記事では、新作と旧作の双方から収益を生み出す内製エンジン「RE ENGINE」の構造的な強みと、今後の発売予定を分析する。一部の未発表コンテンツに関する情報は、業界関係者の報告に基づく未確認情報である。■9期連続で利益記録を更新した第1四半期カプコンが2026年7月28日に発表した第1四半期決算は、売上高が前年同期比54.7%増の704億1000万円となり、第1四半期として過去最高を記録した。SFアクションゲーム『プラグマタ』が発売初四半期で全世界250万本を突破したほか、主力タイトル『バイオハザード レクイエム』も累計販売本数を伸ばした。原文では、同作が長期的に累計1億本規模へ向かう勢いを維持していると評価している。これにより、同社は9期連続で各利益項目の過去最高を更新した。原文によれば、現在、主要ゲームパブリッシャーでこれに匹敵する連続記録を持つ企業はない。2026年6月30日までの3カ月間の営業利益は前年同期比66.9%増の410億5000万円に達し、経常利益は決算で最も高い伸び率となる81.1%増の414億5000万円を記録した。親会社株主に帰属する四半期純利益は69.2%増の291億6000万円となった。デジタルコンテンツ事業の販売本数は、前年同期の1416万本から2381万本へと大幅に増加した。このうち約2126万本は、新作ではなく旧作に当たるカタログタイトルだった。新作1本に対して旧作が約9本売れるという比率は、単一の売上高以上にカプコンのビジネスモデルを物語る数字である。旧作が売れ続けているのは偶然ではなく、同社が一貫して展開する価格施策、対応プラットフォームの拡大、クロスメディアプロモーションの成果だ。カプコンは2027年3月期の通期業績予想を変更しておらず、売上高2100億円、営業利益830億円の見通しを据え置いている。前期比ではそれぞれ7.5%増、10.2%増となる。■新規IPとして商業的な成果を示した『プラグマタ』商業規模で新規IP(知的財産)を立ち上げることが、ますます高コストかつ高リスクになっている現在のゲーム業界において、カプコンの新作SFアクション『プラグマタ』は具体的な反例となっている。推計では、2022年から2025年半ばまでにゲーム業界で約4万5000人分の雇用が失われ、収益は一部の定番フランチャイズに集中している。そうした中、2026年4月17日に発売された本作は、48時間で100万本、発売後16日間で200万本に達し、2026年6月30日時点で全世界250万本を記録した。カプコンは『プラグマタ』通常版の価格を59.99ドル(約9800円、1ドル=164円換算)に設定した。これは、2026年の主要なAAAタイトルで標準的になった70ドル帯を下回る価格にとどめるという意図的な判断だった。同作はMetacriticで86点、GameSpotのレビューで10点満点中9点を獲得した。GameSpotは、カプコンの次なる有力フランチャイズになる可能性があると評価している。『プラグマタ』の舞台は、AIが施設内の人間に敵対するようになった近未来の月面研究施設だ。宇宙服を着た宇宙飛行士ヒュー・ウィリアムズと、アンドロイドの相棒ダイアナが地球への帰還を目指す。プレイヤーがヒューの移動と戦闘を操作するのと並行してダイアナがハッキングを行う、サードパーソン・シューティングとリアルタイムハッキングを組み合わせたシステムは、ゲームメカニクスの奥行きと物語の両面で批評家から広く評価された。既存フランチャイズの支持層を持たない2人のオリジナルキャラクターを新たに登場させた作品であることを踏まえると、特に注目に値する成果である。カプコンは『プラグマタ』をシリーズとして展開する可能性を検討するとしている。ディレクターのYonghee Cho氏も、続編を作りたいかと問われ、「もちろん」と答えている。■累計800万本を突破した『バイオハザード レクイエム』2026年2月27日にPlayStation 5、Xbox Series X|S、Nintendo Switch 2、PC向けに発売された『バイオハザード レクイエム』は、累計販売本数が800万本を突破した。4月末までに700万本に達し、2026年6月30日までの3カ月間にさらに100万本を上積みした。同作は、2026年にカプコンが販売したゲームの中で最多の販売本数を記録している。シリーズの旧作も『レクイエム』によって高まった注目度の恩恵を受け続けている。『バイオハザード RE:4』(2023年発売のリメイク版)は累計1600万本に達し、『バイオハザード RE:2』(2019年発売のリメイク版)は1970万本を突破した。『バイオハザード』シリーズ全体では累計2億1300万本以上を販売しており、任天堂またはソニー以外が販売する日本発のゲームフランチャイズとして、最多販売の地位を固めている。カプコンは2026年5月8日、『バイオハザード レクイエム』向けの無料ローグライク風ボーナスモード「Leon Must Die Forever」を、予告なしのアップデートとして配信した。このモードでは、プレイヤーはレオン・S・ケネディを操作し、ランダム化されたキャンペーン環境を進む。プレイごとに能力をアンロックし、段階的に上昇する難易度に挑戦する仕組みだ。これとは別に、『レクイエム』のストーリー拡張コンテンツも開発中とされる。業界インサイダーのDusk Golem氏の報告によると、このDLCは現在、2027年後半のリリースを目標としており、カプコンは『バイオハザード コード:ベロニカ』のリメイクを優先しているという。カプコンが正式に確認した情報ではない点には注意が必要だ。■Netflixアニメが旧作販売にもたらす効果 『デビル メイ クライ 5』が1400万本に2019年に発売され、RE ENGINEで開発された『デビル メイ クライ 5』は、累計販売本数1400万本を突破した。カプコンは、この販売実績について、Netflixで配信中のアニメ版との相乗効果と、最近発売されたNintendo Switch 2版の効果を挙げている。同作は、カプコンの「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略が、販売本数という測定可能な成果を生み出したことを示す、特に明確な事例の一つである。カプコンは、この戦略などが評価され、2025年に特許庁長官表彰の知財功労賞を受賞した。■具体的な販売本数が示されなかった『モンスターハンター』カプコンは第1四半期における『モンスターハンター』シリーズの具体的な販売本数を示さず、2025年発売の『モンスターハンターワイルズ』の大型拡張コンテンツとして、2027年に発売予定の『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』が発表された後、シリーズの旧作販売が増加したと述べるにとどめた。2018年発売の『モンスターハンター:ワールド』は、累計販売本数3000万本を突破している。『モンスターハンターワイルズ』は2025年2月に発売され、初月で1000万本を突破したRE ENGINE採用作品である。そのため、『モンスターハンター』関連の数字が詳しく示されなかったことは注目に値する。業界関係者からは、同シリーズが『プラグマタ』よりはるかに大きな既存ファン層を持つにもかかわらず、四半期の販売実績で『プラグマタ』を下回った可能性があることから、『ワイルズ:アセンダンス』には一段と高い成果を求める圧力がかかるとの見方も出ている。■第1四半期を読み解く鍵 規模の経済を生むRE ENGINEカプコンの第1四半期決算における各種の数字を説明する鍵は、販売本数や利益率そのものではない。それは、同社が約10年前に下した技術基盤に関する決断である。サードパーティー製ツールを利用したり、タイトルごとに異なるエンジンを構築したりするのではなく、単一の内製クロスプラットフォームゲームエンジンを構築するという決断だ。欧米のパブリッシャーの多くは、これとは異なる道を選んだ。そのエンジンが「RE ENGINE」である。正式名称は「Reach for the Moon Engine」で、カプコンは『バイオハザード7 レジデント イービル』の制作中だった2014年に開発を開始した。カプコンの第一開発部統括である竹内潤氏は当時、世界的な主流になりつつあったアセットベース、すなわち3Dグラフィックスやモデルなどの素材を中心とする開発を実現するため、開発基盤をゼロから再構築する必要があったと説明している。前身の「MT FRAMEWORK」は第7世代ゲーム機の時代を通じてカプコンを支えたが、次世代のアセット制作工程が求める処理速度には対応しきれなかった。RE ENGINEは、ゲームロジックとスクリプトにC#を使用し、カプコンが「REVM」と呼ぶ独自のプロセス仮想マシン上で動作する。高精細な素材を取り込むフォトグラメトリ、リアルな人間の皮膚表現に用いるシェーダー技術であるサブサーフェス・スキャタリング、ボリュメトリックライティング、モーションマッチング、プロシージャルアニメーション、アニメーション制作を効率化するモジュラーリギングなどに対応している。原文が取り上げるハードウェアの範囲では、ハイエンド側のPlayStation 5から性能面で下位に位置するNintendo Switch 2まで、単一のRE ENGINEコードベースで各プラットフォームに対応している。また原文によると、カプコンはRE ENGINEをハードウェア上で動作させるため、初代Nintendo SwitchのRAMを当初計画された2GBから製品版の4GBへ増やすよう任天堂に働きかけたという。この技術上の決断がもたらす経済的な効果は、第1四半期の業績に直結している。カプコンが『プラグマタ』、『バイオハザード レクイエム』、『デビル メイ クライ 5』のNintendo Switch 2版、複数のカタログタイトル向けアップデートを同じ四半期に送り出す際、4つの異なる技術基盤を個別に立ち上げる必要はない。単一のエンジニアリングチームがRE ENGINEを改良することで、その成果はすべての対応タイトルに同時に反映される。あるプラットフォーム向けの最適化も、ほかのタイトルやプラットフォームへ展開できる。タイトルごとに別のエンジンチームを用意する必要がなく、外部のエンジン提供企業へライセンス料を支払う必要もない。現在、四半期販売本数の約89%を占めるカタログタイトルも、主力新作と同じエンジンを利用し、個別の技術基盤を維持する負担を抑えられる。この構造的な優位性は、前世代のゲーム機で初期費用を削減するため、Unreal Engineなどのサードパーティー製ツールを採用した欧米パブリッシャーの多くが、短期間では再現しにくいものだ。Electronic Arts(EA)の内製エンジン「Frostbite」は、特定のゲームの要件に最適化されすぎた結果、ほかのタイトルへ導入した際に、複数の開発プロジェクトで度重なる遅延を引き起こしたことで知られる。原文はWikipediaのRE ENGINEに関する項目を引用し、カプコンのアプローチがEAの直面した問題を回避したと説明している。カプコンの強みは、RE ENGINEが業界で最も技術的に高度なエンジンであることではない。同社は、大規模なオープンワールド環境におけるRE ENGINEの制約に対応するため、「Codename REX」と呼ばれる後継エンジンを開発している。真の強みは、エンジンが全社で共有するインフラ投資であり、それを採用するタイトルが増えるたびに価値が積み重なることにある。■2026年後半以降の発